電気とガスを利用する機器として、キッチンにおいては「ガスコンロ」が一般的ですが、近年はオール電化住宅が増えたこともあり、「IHクッキングヒーター」の利用者が急増しています。
また、給湯においても、ガスを利用する「ガス給湯器」と、オール電化住宅で主に利用されている「エコキュート」が一般的に使用されています。
今回は、電気機器に注目してご紹介したいと思いますが、この2つの電気機器のメリット・デメリットは分かりますか?
ガスを使う機器は使い慣れている方も多いかと思いますが、オール電化の生活をしていないと、中々IHクッキングヒーターやエコキュートに触れる機会も少ないので、メリット・デメリットと聞かれても良く分からない方も多いのではないでしょうか。
ということで、ここからは「IHクッキングヒーター」と「エコキュート」のメリット・デメリットを簡潔にご紹介いたします。
1. IHクッキングヒーターのメリット・デメリットを簡単解説
まず、IHクッキングヒーターの特徴を簡単に説明すると、「Induction(誘導)」と「Heating(加熱)」の頭文字からIHと呼ばれ、「電磁誘導加熱」という技術で加熱する調理器のことです。
加熱する仕組みとしては、電流を流した「コイル」から発生する「磁力線」が、ガラスでできた「トッププレート」に密着した鍋を通る際に、「うず電流」となり鍋そのものを発熱させる仕組みになっています。
大きな特徴として、IHクッキングヒーター自体は熱を発しないことが挙げられます。
IHクッキングヒーターの原理としては、磁力でうず電流を発生させ、その電気抵抗によって発熱させているので、トッププレートの上に金属の鍋やフライパンなど置かなければ加熱しません。
以上、簡単な特徴を踏まえて、メリットとデメリットを見ていきましょう。
IHクッキングヒーターのメリット
まず、大きなメリットに、熱効率が高いことが挙げられます。
これは、IHクッキングヒーターの特徴として本体は加熱せず、鍋やフライパン自体を加熱するため、周辺に熱が逃げるといったロスが少なく、約80~90%という高い熱効率を誇っており、一般的なガスコンロの熱効率は、ガスは熱の大部分が鍋やフライパンの周りに逃げてしまい、40~55%と熱効率は低くなってしまいます。
その他には、以下のようなメリットが考えられます。
火を使わないので安全
これは、当然と言えば当然なのですが、ガスコンロのように火を使わないので、火が別の物に燃え移ることがなく、火災になるリスクを限りなく軽減してくれます。また、火の消し忘れによる事故の心配もなくなります。
さらに、鍋やフライパンのみが過熱されているので、トッププレートに食材をこぼしても、長時触れない限りは火傷をする心配はないので、手で拾うこともできます。
また、遊び盛りのお子様がいらっしゃるご家庭では、火災などの危険は回避できますが、間違ってお子様がトッププレートに触ると火傷をする恐れがありますので、注意しておきましょう。
お手入れがしやすい
ガスコンロを使用している方は、五徳(発熱体の上部に設置して加熱用容器を支えるために用いられる器具)やガス噴出口のでっぱりが邪魔で、時間を掛けてお手入れをしている方も多いですよね。
しかし、IHクッキングヒーターはフラットな作りになっているので、加熱をしていない状態で、布巾やキッチンペーパーでサッと拭くだけで、ほとんどの汚れは落ちてしまいます。お手入れだけを考えれば、10分の1程度の手間で終らせることができます。
使っていくうちに焦げ付くこともありますが、専用のお掃除シートなどで拭くと落とせるので、常にピカピカの状態でお料理を楽しむことができます。
火力の調整が楽
IHクッキングヒーターは、火力調整も200Vの高火力からとろ火まで、料理に合わせて簡単に調節する機能が充実しています。
通常のガスコンロでは、つまみを微調整することで火力を変えますが、IHクッキングヒーターは製品によって異なりますが、10段階の火力調整をボタン1つで簡単に操作できます。
ガスの場合、火が消えてしまうとガス漏れ状態になってしまいますが、IHではそのような心配が一切ありません。
IHクッキングヒーターのメリットは、何といっても火を使わないことで安全に使用できることです。さらに、夏場のキッチンは暑い!というイメージが強いですが、IHなら鍋やフライパンだけを加熱するのでキッチンは暑くならずに快適に料理が楽しめるメリットもあります。
IHクッキングヒーターのデメリット
IHクッキングの最大のデメリットは、電気を使っているので停電の時は全く機能しないということですよね。
一方、ガスコンロは、停電があっても全く関係ないので通常通り使用ができます。対策として、オール電化住宅では、別にカセットコンロを準備しておくことが大切になります。
その他にもデメリットと感じられることをご紹介いたします。
使える鍋やフライパンなどの調理器具が少ない
基本的に、『IH対応』とシールが貼られている調理器具しか使用できません。
これは、ガスコンロとIHクッキングヒーターの仕組みが異なることによるもので、ガスコンロで使用していた鍋やフライパンなどがIHでは使えないことがあります。
最近はIH対応器具も増えてきましたが、IH対応鍋・フライパンは従来品よりも多少ですが高く、さらに重いのも特徴です。
鍋やフライパンを振ると火力が弱まる
ガスコンロでは、鍋振りの間も火はついたままで熱は上がってくるため、チャーハンなど鍋振りや火力が必要な料理も問題なくできます。
しかし、IHクッキングヒーターでも鍋振りは可能ですが、振り過ぎると火力が段々弱くなっていきます。
なので、鍋振りをする場合は、なるべく鍋やフライパンを離さず、すぐに天板に戻すことがポイント。
最新のIHクッキングヒーターは、センサーの精度もあがり素早い火力復帰ができるようが、慣れるまでは戸惑うのではないでしょうか。
デメリットといえば、何といっても停電に弱いということに尽きます。
その他にも、慣れるまでは不便に感じることもありますので、IHクッキングヒーターをご家庭で使用したい場合は、鍋やフライパンなどの調理器具も合わせて用意しておく必要があります。
2. エコキュートのメリット・デメリットを簡単解説
こちらも先に簡単な特徴を説明すると、エコキュートとは、「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」の愛称で、大気の熱を利用してお湯を沸かす、地球環境に優しい自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機です。
エコキュートは、お湯を貯めておく「貯湯タンク」と、室外において外部の空気を取り込む「ヒートポンプユニット」と呼ばれる2つの機器から構成されており、
➀大気中の熱を取り込む
➁圧縮して高温にする
➂自然冷媒の熱を水に伝える
➃お湯を貯湯タンクに溜める
➄膨張させた温度を下げる
と、簡単にはこのような仕組みでお湯を沸かしています。
エコキュートの特徴の一つに、従来のガス給湯器と比べて、主に夜間電力を使うので昼間の電気使用量を抑えられることが挙げられます。
ということで、エコキュートのメリット・デメリットを見ていきましょう。
エコキュートのメリット
エコキュートは、省エネで経済的ということが大きなメリットですが、近年の自然災害による防災意識の向上から、地震などの非常時に貯まった水が使えるといった面でも注目を集めています。
省エネのうえにCO2削減にもなり、地球環境に優しい
エコキュートは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーと同じように、ヒートポンプは空気熱でお湯を沸かしています。
エコキュートは、冷媒に環境破壊の原因となるフロンを使わないで、自然エネルギーのCO2を利用。そのため、地球温暖化への影響は、従来のフロン系冷媒の約1700分の1という、環境にやさしい給湯機となっています。
夜間電力を使うことで、昼間の電気使用量が抑えられる
エコキュートは、主に昼間の約3分の1の電気代の夜間電力を使うので、電気料金を大幅に削減できます。
また、少ない電気量でお湯を沸かすことができるため、ガス給湯器や電気温水器と比べて省エネです。
断水時などには貯湯タンク内の水を生活用水として使える
万一、地震などの災害時に断水しても、貯湯タンクに溜まっている水を非常用用水として使えます。
ただし、飲み水としては使えません。
また、停電になっている状態では、貯湯タンクの非常用取水栓から水をくみ取ることができます。
以上が主なメリットになりますが、大気の熱を利用してお湯を沸かす技術を使っているので、地球環境に優しく、夜間電力を使っているので、電気料金を減らせることは大きなメリットではないでしょうか。
エコキュートのデメリット
こちらも、電気なので停電の時は機能が停止してしまうことは言うまでもなく、その他にもデメリットと感じることがあります。
ガス給湯器よりも初期費用が高額
エコキュートは、ヒートポンプユニットや貯水する貯湯タンクなどの設備自体が高額。
エコキュート本体価格では、370ℓタイプで定価35万円、460ℓタイプで37.5万円、550ℓタイプで40万円と、ガス給湯器と比べた場合、2~3倍にもなります。
また、設置工事費に関しては、約10~15万円かかるので初期費用は、安くても約40~85万円程度かかります。
深夜に低周波騒音を起こすケースがある
エコキュートは、ヒートポンプを利用しているため、室外機の稼働している際の音は発生します。
ヒートポンプはエアコンと同じ原理ですが、深夜電力を利用するため夜中に稼働します。そのため、隣家との距離や、部屋の位置なども考えながら配置場所を考える必要があります。
お湯切れすると次に湧くまでお湯が使えない
深夜電力を使用してお湯を夜中に沸かして溜めておくように設定されているので、そのお湯を使いきってしまうと次に沸かすまでお湯が使えない状態になってしまいます。
370ℓタイプから選ぶことができるので、家族構成や使い方をよく考えて容量を選び、ある程度残量を見ながら使うことが大切です。
以上の様に、エコキュートならではのデメリットがありますので、初期費用に関しては計画を立てておく必要があります。
しかし、エコキュートは国の補助金ではなく各地方自治体によって補助金が出ることがあります。補助金額は、各自治体によって異なるので、予め居住する自治体の補助金について調べる必要があります。ちみなに、東京都の場合は5~10万円程度となり、問い合わせて確認しておくことをおススメします。
3. まとめ
今回は、オール電化住宅で利用される「IHクッキングヒーター」と「エコキュート」のメリット・デメリットのご紹介でしたが、電気を利用しているので、停電の時は使うことができなくなります。
電気を利用しているので、火災などの事故は軽減されますが、本体価格は従来のガス機器よりも高額になりますので、導入をご検討の際は予算も考えながら機器を選ぶことが大切ですね。
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