現代社会は、「電気」を使うものに溢れ、近年では全てを電気でまかなう技術の開発が進められています。
電気自動車をはじめ、太陽光発電、風力・地熱を使った、いわゆる自然のエネルギーを最大限活用したエコ技術が急速に発展し、住宅においても「オール電化住宅」の普及率も増加傾向にあります。
オール電化とは、「火」を使用していたものを「電気」でまかなう技術のことになり、
・給湯
・調理
・空調
と、この3つの設備によってオール電化は構成されます。
中でも調理で使われる「IHクッキングヒーター」は、現在流通量が急増しているオール電化機器です。
そこで今回は、そもそもオール電化とは何なのか?
さらにIHクッキングヒーターの魅力や利用することで安心快適な生活ができる仕組みをご紹介いたします。
1. そもそもオール電化とは?
そもそもオール電化は、住宅において利用され、オール電化は呼び名として使われているものであり、正式には「オール電化住宅」のことを指しています。
主に、空調、給湯、調理といった家の中の全ての機能が電気によってまかなわれ、一般家庭のようにガスとの併用が全てなくなります。
そのオール電化住宅の特徴として、冒頭でも少し触れましたが、
以上、3つの設備が使われています。
➀給湯
給湯では、従来ガスを使用してお湯を沸かしていたものを、オール電化住宅では、安い深夜電力を使って夜の間にお湯を沸かす「エコキュート」が現在では主に利用されています。
エコキュートとは、「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」のことで、大気の熱を利用してお湯を沸かす、地球環境に優しい自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機です。
➁調理
オール電化住宅では、通常のガスコンロの代わりに、「IHクッキングヒーター」を利用します。
IHクッキングヒーターとは、「Induction(誘導)」と「Heating(加熱)」の頭文字からIHと呼ばれ、「電磁誘導加熱」という技術で加熱する調理器のことです。詳しくは後ほど。
➂空調(エアコン・床暖房)
オール電化住宅では、石油・ガスを使うストーブやファンヒーターの代わりに、エアコン、床暖房システム、蓄熱ヒーターなどを利用します。
夏は主にエアコンや扇風機を使い、冬場に関してはエコキュートの熱を利用した「床暖房」や、安い深夜電力で夜の間に蓄熱して熱を日中に利用する「蓄熱ヒーター」という暖房機が使われます。
太陽光発電で電気代がお得に!
オール電化住宅では、IHクッキングヒーターやエコキュート、蓄熱ヒーターといった設備が主に設置されますが、その他にも「太陽光発電」を利用しているご家庭も多いのではないでしょうか?
太陽光発電とは、ご家庭で使われるのは「住宅用ソーラー発電システム」のことになり、屋根に太陽光パネルを設置し、発電した電気を自宅で利用することで電気代を下げ、余った電気を電力会社に売ることになります。
その仕組みは、屋根に設置された太陽電池に太陽光が当たると発電します。
この電気は直流なので、家庭で使用できる交流に「パワーコンディショナ」と呼ばれる機器を使って変換した後、家庭の分電盤に接続し、自動的に電気を使ったり、余った電気を売ったりできるという仕組みとなり、電気代節約のために広く利用されています。
以上の様に、オール電化住宅では電気で全てをまかない、「火」を全く使用したいことにより、安心した快適な生活が実現できるのです。
また、「エコキュート」の利用によって、給湯熱の効率を従来の約80%が95%にアップし、CO2排出量を約13%も削減できるので、地球環境に優しく、安い深夜料金を利用して熱を作れるので、経済的にもお得なのです。
2. IHクッキングヒーターの仕組み
調理において、従来であればガスコンロが一般的に使われていますが、オール家電住宅では、「IHクッキングヒーター」が使われます。
しかし、「どうやって過熱しているの?」といった初歩的な事から疑問を感じるではないでしょうか。
◇IHクッキングヒーターの仕組み
そもそも「IH」とは、Induction Heating(電磁誘導加熱)の頭文字をとって名付けられてもので、要は「電磁調理器」を意味しています。
電磁誘導加熱って何?となりますが、簡単に表現すれば、「電気を通すことで磁場が誘導され加熱する」ということになり、詳しく説明すると、図のように、電流を流した「コイル」から発生する「磁力線」が、ガラスでできた「トッププレート」に密着した鍋を通る際に、「うず電流」となり鍋そのものを発熱させる仕組みになっています。
IHクッキングヒーター自体は発熱しない
また、加熱した後すぐに触ったことがある人なら分かると思いますが、IHヒーター自体は熱くないですよね。
これは、IHヒーター自体は熱を発していないからです。
原理としては、上に置かれた鍋やフライパンなどの底面部のみが発熱しているからであり、磁力でうず電流を発生させ、その電気抵抗によって発熱させているので、トッププレートの上に金属の鍋やフライパンなど置かなければ加熱しません。
3. IHクッキングヒーターで安心快適生活を!
IHクッキングヒーターの仕組みや特徴は分かりましたか?
では、その特徴によって得られる優れたメリットをご紹介いたします。もちろんデメリットもありますので、合わせてご説明いたします。
IHクッキングヒーターのメリット
熱効率が非常に高い
意外に感じるかもしれませんが、ガスコンロよりも加熱スピードが速いのです。
これは、前項でもご紹介した通り、IHクッキングヒーター自体は加熱せず、鍋やフライパン自体を加熱するため、周辺の空気を熱するといったロスが少なく、約80~90%という高い熱効率を誇っています。
一方、一般的なガスコンロの熱効率は40~55%と言われおり、ガスは熱の大部分が鍋やフライパンの周りに逃げてしまい、熱効率が落ちるためです。
IHクッキングヒーターは鍋底だけを集中して加熱するので直ぐに温まるのです。
「火」を使わないので安全で、夏場でも快適に料理ができる
ガスコンロのように「火」を使わないことので、ありがちな火が別の物に燃え移ったりといった心配が無く、火災になる恐れが限りなく軽減されます。
また、火の消し忘れによる事故の心配もなくなりますよね。
さらに、鍋やフライパンのみが過熱されているので、トッププレートに食材をこぼしても焦げたり、燃えることはなく、熱くないので手で拾えます。
その他にも、夏場にガスコンロだと火を使うので汗をかきながら料理をしていることもありますが、Iヒーターでは周りの空気は暑くならないので、夏場でも快適に料理ができます。
掃除がしやすい
IHクッキングヒーターの売りは、「お手入れが楽!」といったフレーズが真っ先に出てきますよね。
IHのトッププレートはフラットな作りになっているので、サッと布巾やキッチンペーパーで拭けば、ほとんどの汚れは取れてしまいます。
ガスコンロでは、五徳やガス噴出口のでっぱりがあり拭きにくく、さらに油や焦げた部分など専用の洗剤などを利用しないと落ちない汚れもありますよね。掃除する手間を比べた場合、IHクッキングヒーターは、単純に10分の1くらいは軽減されるのではないでしょうか。
火力調整が楽
IHクッキングヒーターは、火力調整も200Vの高火力から弱火まで、さまざまな料理に合わせて簡単に調節する機能が充実しています。
ガスコンロの場合、つまみをちょっとずつ捻って火力を調整しますが、IHクッキングヒーターはボタンひとつで、火力は製品によっては10段階ほど調整が可能になっており、強火から超弱火までの調整が簡単に行えるのです。
IHクッキングヒーターのデメリット
停電時は利用できない
IHクッキングヒーターは電気を利用しているので、停電した時は当然使えなくなりますね。一方のガスコンロでは、停電があっても全く関係ないので通常通り使用ができます。
オール家電住宅では、停電が長期になることも考えて、別にカセットコンロを準備しておくことが大切になります。
鍋やフライパンを買い替える必要がある
これは、ガスコンロとIHクッキングヒーターの仕組みが全く異なることから、ガスコンロで使用していた鍋などがIHでは使えないことがあります。
基本的に、市販の「IH対応」の明記されているものしか利用できません。
IH対応製品はIHの普及率の増加によって増えてきましたが、IH対応鍋やフライパンは値段が通常の商品よりも多少高くなります。
また、なぜか重いのです。
鍋やフライパンを振ると過熱が勝手に弱まる
IHクッキングヒーターでも鍋振りは可能ですが、多用すると火力がどんどん下がってしまいます。
ガスコンロでは、鍋振りの間も火はついたままで熱は上がってくるため、IHと比べると鍋を振っている間の温度低下は少なくなります。
ちなみに、IHではフランベといった調理法はできないでしょう。
最新のIHクッキングヒーターは、センサーの精度もあがり素早い火力復帰ができるようが、慣れるまでは戸惑うのではないでしょうか。
IHクッキングヒーターで鍋振りをする場合は、なるべく鍋やフライパンを離さず、すぐに天板に戻すことがポイントです。
このように、IHのメリットがガスコンロのデメリットであり、IHのデメリットがガスコンロのメリットになることが分かりますよね。
実際にお使いになる方の好みにもよりますが、掃除のしやすさ、安全性や効率の良さといったIHクッキングヒーターのメリットは大きな魅力ではないでしょうか。
4. まとめ
近年、オール電化住宅も増え、「火」を全く使用したいことにより、安心した快適な生活が実現できます。
しかし、当然のことですが「電気」を使用しているため、地震などの自然災害のときは、火災になる危険性はなくなりますが、ちょっとした停電の時は家の機能が全停止してしまうので、対策は考えておく必要があります。
今回は、IHクッキングヒーターの説明でしたが、利用に当たってはご紹介したデメリット面もよく理解しておくことが大切ですね。
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